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SWEET SWEET HOME

SWEET SWEET HOME

1996 -失恋-

Sくんと別れて早々、私は憧れだったAさんと付き合いだした。

ところがこの恋愛、ありがちではあるがとても短く、最後は修羅場の恋愛だった。



私たち、会社が同じだけではなく同じ部だった。


付き合いだした次の週の連休に、近くの街まで一泊旅行へ行った。

この旅行の帰り道、通りがかった湖を見ながらAさんが自分の気持ちを話し出した。

「あのさ、このまま付き合っても俺おおっぴらに付き合えないし、普通の恋愛はできないよ。いいの?」

そのとき確かに彼はこう言って、私はそれに何も答えられなかった。



社風として、残業=当たり前 がまかり通っていた私たちの会社だったため

Aさんの帰宅時間は22時過ぎ当たり前、時には0時を回ることもあった。

それでも私たちは毎日会っていた。夜中の3時4時に家に帰るのも当たり前。

でもそうしてでも私は毎日会いたかったし、Aさんも会ってくれた。

毎日寝不足だったにもかかわらず。Aさんも私を好きになっていると思った。



彼には元彼女がいた。当時でもう8年の付き合いになる。

私とAさんがこうなったときは別れていた。

それを私は「彼らはもう別れた」と思ったのだ。

でも実際彼らは過去に喧嘩するたびに別れ、しばらくたった頃にヨリを戻し

そしてまた別れ、、、と繰り返していたのだった。

その時も実はいつもの調子でそうなったらしく、ただ、Aさんは

いい加減こうして振りまわす元彼女に嫌気がさしていたらしい。



相変わらず夜中まで毎日会う生活が続いていた。

そのうち休日のデートも、買い物や映画館で堂々と手をつないで歩くようになった。

デパートへ行ったり、外食したり、Aさんの家に行ったり。

小さい街だもの、平日(定休日は平日なんです)の人の少ない日に外出して、いつ会社の人に会うかわからないのに。

Aさんも明らかに私の事を好きになっていた。



1、2ヶ月たった頃、元彼女からAさんに連絡が入った。

内容は普通の会話。

用事があるからちょっと(Aさんの)家寄って、物とって帰るわ。みたいなあっさりしたもの。


その日はsuminyはAさんと夜会わなかった。元彼女が来るからだ。

その時Aさんは、元彼女に私の存在と伝え本気で別れ話を切り出した。

Aさんは今までの経過からして、簡単に別れられるだろうと思っていた。

が、元彼女は怒り狂い出した。



それからは一転変わって奈落の底に3人で落ちたような毎日。



もともと元彼女は感情的な性格だったようで、

Aさんと会えば喧嘩、わめくし物に当たるし、殴る蹴る、

聞く耳ももたず、被害者意識が強かった。


Aさんも、会えば話合いどころかわめき散らす元彼女に冷たく当たった。

手切れ金と称して、趣味で集めたCD200枚近くと銀行通帳を投げつけたりもした。

ひどく傷つける言葉も言った。

でも元彼女は、8年も付き合ってそんな簡単に別れられるなんて信じられない と絶対に引かなかった。

と同時に、元彼女はAさんから聞きだしたsuminyのことをひどく恨んでいた。



suminyは元彼女にとって、"良家のお嬢様"だそうだ。

元彼女は、失恋が原因で高校を中退し、中卒であることにコンプレックスを持っていた。

父親がオンナを作り家を出て行った。数年後に父親は戻ってきたが元彼女は許せずに追い返した。

父親不在のままの生活を、家庭環境が悪くその中で育ったことにコンプレックスを持っていた。

弟が障害児で母親が病気。それも気負いしていた。

そしてsuminyは元彼女より若かった。


すべてが自分より良いと思ったらしい。

Aさんを取られたような気持ちになり悔しかったそうだ。



元彼女の行動は日増しにエスカレート。

会社に電話をかけてきて、勤務中のAさんにsuminyと別れろとか、suminyと話させろと言ったり、

Aさんとsuminyの会社の前で自殺してやる と狂言したり

suminyの家に無言電話を1時間もかけ続けたり。

そして元彼女は日増しにやつれていき、ずいぶんとやせたそうだ。



そんな中、私とAさんの関係は壊滅に近かった。

こんな状態になってほんの1、2週間しかたっていないのに、

ダメになるときはホントに早い。坂を転がり落ちていくようだ。

私も自由にAさんと会えなくなり、会えばAさんのグチを聞く毎日。

次第に私は、今まで口にしないようにしていた元彼女の悪態に

文句を言い出すようになった。

当然、腹が立っても8年来付き合った元彼女を良く知らない人から

バカだの頭悪いだの、暴言を言われたらいい気分はしないもの。



そしてある日、Aさんから衝撃的発言が。

「俺、あいつのトコ戻ろうと思うんだ。」

私はピシッと凍りついた。

Aさんは、こんなに冷たくされてひどい事言われても、

それでもAさんと別れたくない、大好きだと言っている元彼女に

こんなに好きでいてくれているは思わなかった と、ふと思ったそうだ。



今回の事件の原点に戻ってみると、別れたりヨリ戻したりと

さんざん元彼女の気まぐれに振り回されていたAさん。

元彼女の本当の気持ちに不信感を抱いたんでしょう。

そして本気で別れ話を切り出したら、元彼女は怒り狂い、

どんな汚い手を使ってでも、Aさんを手放そうとしない。

元彼女はだんだん痩せこけていく。

Aさんは、そこまでして別れなければならないのか? と思ったそうだ。

suminyは反論した。

Aさんがsuminyに言った言葉、元彼女のことを悪く言っていたこと。

それに対してAさんが言った言葉。

「その時はそう思った」



これじゃ結果的に私ってピエロっち?

あなた達がどれほどお互いを必要としているか気づくために

私が一役買ったってのか?


それを聞かされたsuminyの気持ちが今度は煮えくり返った。

会いたいけど会えない、電話をかけたら手のひらを返したように冷たく、

私との会話に全く興味がないような話し振り。

職場では、平気で「俺の彼女なんて~」と話し出すAさん。

毎日が辛くて寂しくて悲しかった。

自殺未遂もした。私が死んだらAさんは悲しむだろうか。そう思った。

手首を切った。

薬をたくさん飲んだ。

どれも最後までできなかった。

手首には皮膚の表面を切るくらいの傷しか作れない。

飲んだ薬は、胃が拒否反応起こして吐いた。

あまりの苦しさにトイレで

「神様ごめんなさい。もうこんな事しません。」と謝った。

日ごとに痩せていき、160を超える身長なのに40キロを切ったことがあった。


Aさんとの恋愛が終わり、一人毎日泣き暮れていたsuminy。

頭をよぎるのはSくん。

会いたいんじゃない、ヨリを戻したいんじゃない。

ただただSくんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

私と同じくらい、きっとそれ以上の傷を負っているはず。

これは、あんなに純粋に私だけを大切にしてくれたSくんを

勝手な理由で振った私への、神様が与えた罰なんだ と思った。

申し訳ないと心から思う懺悔の気持ちが、こんなにも苦しいものとは思わなかった。



納得のいかない半強制的な「仕方ない」別れは、その後数年間

Aさんへの恨みと憎しみを持ったまま、

ずっと好きだという、性質の悪いものへと形を変えていった。

納得のいかない別れをしたとしても、もう相手に会うことがなければ、

次第に忘れ、いい出会いがあった時次の恋愛に進めたのかもしれません。

同じ会社ってこういう時きっついって思った。



Aさんは本当はサイテーのオトコです。

ここには細かい彼の発言等は書いていませんが、

普段のおしゃべりからしても

Aさんの考え方は思いやりのないものが多く、

他人を理解して受け入れようという姿勢もありません。

仕事においても異常にビジネスライクな時があります。

そんな彼の悪いところも、私は好きだから受け入れたし、

そんなところも好きになっていました。


でも、年数が経ち今では冷静に彼のことを考えられます。

なぜ私はあんなにAさんを盲目なほど好きだったのか。

Aさんの悪いところを、好きなあまり私は見ようとしなかった。

ズタボロになった恋愛ほど、後から身になるものなんでしょう。

この恋愛から学び取ったものは大きかったです。




一度に振った方、振られた方の気持ちを味わったsminy。

1996年の恋愛は、私を一つ大人にしてくれました。


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そして1997年の春、違う部署のMさんから告白されました。



つづく







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